合同会社 ピロロの牧歌

代表社員(右)
柏葉 真伸(かしわば まさのぶ)さん
1982年生 芽室町出身

真伸さんの弟(左)
柏葉 敏幸(かしわば としゆき)さん
1988年生 芽室町出身

『新しい豊かさのカタチ』を目指して新規就農!

真伸さん:会社なので僕が「代表社員」という肩書きにはなっていますが、実質的には私と弟が共に経営者となり、共同経営というスタイルで行っています。

家族も含め、そこで働くスタッフ全員が楽しみながら「自然」、「動物」、「人」を尊重し、真剣に向き合うことで共存していく。そんな農業をやりたいと心に抱いていました。

自分(たち)が生きていくうえでお金はもちろん大切です。しかし、経済追及だけでは僕らが目指す「豊かさのカタチ」をつくることはできません。牛と人がお互いに健康的で心地よい日々をおくる。自然を尊重しこれからの自然変異に対して自分たちの農業を持続していく。以前帯広市の事業で訪れたキューバという国の農業のありかた、十勝の有志たちとの活動なども通して考え、行きついたのが会社理念でもある「1000年先の子孫に残せる農業を目指す」という道だったんです。

志を同じくする弟と共に

真伸さん:自分たちが目指す農業をどうカタチにするか。辿り着いた考えが「共同経営」と、「無駄なロスとコストを最小限に抑える」という経営スタイルでした。

この2つを実践することで、無理をせず豊かな農業経営をすること。そんな農業を目指そうと決めました。そんな志に賛同してくれた弟家族と共に、新規就農に挑戦することになりました。

無駄なロスとコストを最小限に抑える

真伸さん:自家産の牧草ラップや副産物などを使い、出来るだけ飼料にお金をかけないこと。必要以上の施設投資をしないことを意識しています。過密な飼育環境ではなく放牧飼育なども利用し、牛にできるだけストレスをかけないことで、薬代や治療代など、健康であれば必要のないコストを最小限に抑えるようにしています。

それと共に、お互いの家族で見ることによって事故を防いだり、繁殖に力を入れ、牛に負担をかけないことで「産次数(分娩した数)」を上げていく。そんなことを意識しながら取り組んでいます。

牛舎も機械も、以前の持ち主が使っていたものを使っているので、就農にあたり大きなお金もかかりませんでした。施設には莫大なお金がかかりますから、なるべくそのコストは抑えるようにしています。そして、牛たちが病気のない状態で長く元気に生きてもらうこと。

牛と人がお互いに負担をかけず、心地よく! がテーマなので、「売上を伸ばす」よりも「支出を抑える」という方法で経営状態を良くするやり方を選びました。

人と土地の素晴らしさ。縁に導かれて広尾町へ

真伸さん:2016年頃に「酪農で新規就農」と決めてから、色々な人に相談し十勝中の土地を探しました。そこで出会ったのが、今は近所である小田さんです。相談に伺ったその日に「直接農協と話をしたほうが早いから、今から行こう!」と、農協さんとの話す場をつくってくださったり、自分たちの志の実現に対し、多くのアドバイスをいただきました。強く背中を押してくれたのが小田さんでした。

また、僕らの趣味がサーフィンや釣りということで、海が近く自然が豊かというのも大きな魅力のひとつでした。僕らが新規就農にこの広尾町を選んだ理由は「人」と「土地」の素晴らしさに惹かれたからです。

2年間の酪農実習を経て

真伸さん:会社設立前の2年間は酪農実習があり、実際の酪農家さんのところで勉強させていただきました。

敏幸さん:僕は少し遅れて1ヵ所の酪農家さんで半年ほどの研修を行いました。その間、家族(妻と子ども1人)と農協さんが社宅として使っていた元教員住宅に住まわせていただきました。そうした住む場所の確保もありがたかったですね。

実習をして知り合った酪農家さんには、就農した後にも収穫機械を貸していただいたり、作業を手伝っていただいたりと、気にかけてくださって助けられています。僕らがこうやって就農できたのは、実習期間中にお世話になった酪農家さんたちのおかげです。

話し合いを重ねて、より豊かな人生へ

真伸さん:共同経営では、何かあればとことん話し合って結論を出す。そして実行に移す。難しければ別の方法を考える。自分一人ではなく、経営するからこその強みだと思っています。また、余裕のある労働形態によって、牛の観察にも力を入れることで、牛を大切に育て経営を良くすることができます。

仕事以外の時間は、趣味であるサーフィンや釣りを楽しんだり、交替で休みをとり、家族旅行に行ったりなど、家族との余暇も大切にする。そんなお金では買うことのできない『豊かさのカタチ』をこれから築いていきたいと思っています。

企業情報

【会社設立まで】
2017~2019年 実習
2019年1月 合同会社設立
2019年9月 牛を飼い始める

【運営形態】
酪農形態…放牧酪農、つなぎ牛舎で搾乳
経営面積…70ha
飼育頭数…120頭前後

その他のインタビュー見る
経験者からのインタビューを掲載しています。